| セキュリティ用語が苦手な社員向け 経営者が知るべきITセキュリティの基本用語10選 | |
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| 作成日時 26/01/15 (08:22) | View 306 |

企業の情報セキュリティ対策は年々複雑化し、専門用語も増え続けています。しかし、経営者や管理職、さらには一般社員にとって「セキュリティ用語が難しすぎて理解できない」「担当者の説明が専門用語だらけで話が噛み合わない」という声は珍しくありません。
実際、情報漏洩やサイバー攻撃の多くは、担当者だけが理解していても防げません。経営層がリスクと対策の概要を理解し、社内で共通認識を持つことが組織の安全性を高める第一歩です。
本記事では、セキュリティ初心者や専門用語に苦手意識のある社員でも理解できるように、企業防御の基礎となる 10の重要セキュリティ用語 を平易な言葉で解説します。また、担当者とのコミュニケーションを円滑にするポイントもまとめています。
1. 脆弱性(ぜいじゃくせい)
システムの “すき間” や “弱点” を意味する言葉
脆弱性とは、システムやアプリ、機器などに存在する 攻撃者が悪用できる弱点 のことです。
たとえば以下のようなものが含まれます。
・最新パッチが適用されていないソフトウェア
・設定ミス
・古くなったOS
・パスワードが簡単すぎる認証方式
・不要なポートが開いたままのサーバー
脆弱性があるシステムは「鍵の壊れた家」と同じで、攻撃者にとって格好の侵入口になります。
そのため企業では、定期的なアップデート、脆弱性診断、構成見直しなどが必須です。
経営者として理解すべき点は、脆弱性は必ずどこかに発生する という前提に立ち、それを最小化するための運用体制や予算が必要だということです。
2. MFA(多要素認証)
IDとパスワード“だけ”では守れない時代の標準装備
MFA(Multi-Factor Authentication)は、ログイン時に 複数の認証方法を組み合わせる仕組み のことです。
一般的な組み合わせは以下のとおりです。
・パスワード(知識情報)
・スマホに届く認証コード(所持情報)
・指紋や顔認証(生体情報)
サイバー攻撃で最も狙われるのは「パスワード」です。クラウドサービスが当たり前になった今、IDとパスワードだけでアクセスできる状態は極めて危険です。
MFAを導入すれば、仮にパスワードが漏洩しても、不正ログインを高確率で防げます。
経営者は クラウドサービスの利用=MFA必須 と覚えておくべきです。
3. DLP(データ漏洩防止)
「情報を外に持ち出させない」ための仕組み
DLP(Data Loss Prevention)は、企業の機密情報が 誤って、あるいは悪意によって持ち出されることを防止する 技術です。
代表的な機能は以下のとおりです。
・USBメモリへのデータ保存のブロック
・メール添付ファイルの自動検査
・機密ファイルの転送制御
・ファイルのコピーや印刷の禁止
・情報持ち出し時の自動暗号化
情報漏洩は外部攻撃だけでなく、社内の不注意によるケースも多いのが現実です。
DLPは、「人のミスを仕組みで防ぐ」ために欠かせない対策です。
4. WAF(Webアプリケーションファイアウォール)
企業サイトやクラウドサービスを守る“防壁”
WAFは、WebサイトやWebサービスへの攻撃を防ぐための 専門的なファイアウォール です。
通常のファイアウォールがネットワーク全体を守るのに対し、WAFは次のような攻撃をピンポイントで防ぎます。
・SQLインジェクション
・クロスサイトスクリプティング(XSS)
・ボット攻撃
・Webアプリケーションの設定ミスの悪用
企業サイト・ECサイト・会員制サービス・クラウドアプリなど、Webが中心となる現代では、WAFの導入はもはや“攻撃前提社会”の必須条件です。
5. EDR(Endpoint Detection and Response)
端末に侵入された“後”も攻撃者を追い出す仕組み
EDRは、PCやサーバーなどの端末を監視し、怪しい動きを検知して封じ込める 仕組みです。
従来のウイルス対策ソフトは「既知のウイルス」を止める仕組みでしたが、EDRはそれを越えて以下を可能にします。
・不審な挙動のリアルタイム検出
・攻撃の痕跡の記録と解析
・侵害された端末の隔離
・侵入経路の特定
未知の攻撃が増える中、「侵入を100%防ぐ」ことは事実上不可能であり、侵入されても最小限の被害で食い止める EDR は企業防御の最前線です。
6. ゼロトラスト
「何も信用しない」という新しいセキュリティ設計思想
ゼロトラストは、従来の「社内ネットワークは安全」という考え方を捨て、すべてのアクセスを常に検証する というコンセプトです。
ポイントは以下のとおりです。
・社内ネットワークでも信用しない
・すべてのアクセスに認証を求める
・端末の状態も常にチェックする
・必要最低限の権限だけを付与する
クラウド利用・テレワーク・モバイル勤務が増えた現在、従来型の“社内ファイアウォール中心”の考え方は通用しません。
ゼロトラストは、「新しい働き方に合わせたセキュリティ設計」と言えます。
7. ファイアウォール(Firewall)
企業ネットワークの“門番”
ファイアウォールは、外部と内部のネットワークを隔て、許可されていない通信をブロックする装置または機能 です。
例えるなら、企業ネットワークの玄関に立つ「警備員」。
怪しい通信や攻撃の可能性があるアクセスを入り口で止めます。
クラウド利用が増えても、社内ネットワークがある企業では依然として重要な防御の基本です。
8. IDS/IPS(侵入検知・侵入防止)
攻撃の“気配”を察知してアラートを上げる仕組み
IDS(Intrusion Detection System)は 不正なアクセスの検知、
IPS(Intrusion Prevention System)は 不正なアクセスの自動遮断を担います。
主にネットワーク全体を監視し、以下のような挙動を検知します。
・大量のポートスキャン
・攻撃パターンに類似した通信
・通常ではありえないアクセス
従来からある技術ですが、社内ネットワークを持つ企業には今でも欠かせません。
9. SIEM(シーム)
ログを統合的に分析して攻撃に気づく仕組み
SIEM(Security Information and Event Management)は、社内のさまざまなログ(記録)を集め、異常を早期に発見するための分析基盤 です。
たとえばこんな攻撃にも気づくことができます。
・夜中に海外から管理者権限でログイン
・同一アカウントで複数拠点から同時ログイン
・退職者アカウントの不審な利用
・大量のデータが短時間で転送されている
ログを“点”で見るのではなく、“線”としてつなげて分析することで攻撃に気づける。
これがSIEMの最大の強みです。
10. ダークウェブ
特殊なツール(Tor等)でのみ接続できる、匿名性の高い隠れたネットワークのことです。
発信元の特定が極めて困難なため犯罪に使われやすく、漏洩したIDやパスワードなどの機密情報が売買されています。
その他にも以下のようなリスクがあります。
・閲覧するだけでウイルスやマルウェアに感染し、PCが乗っ取られる。
・クレジットカード情報や個人情報の売買など、詐欺や犯罪に巻き込まれる。
・違法な情報の保持により、意図せず法的な処罰の対象になる。
・自分の端末がサイバー攻撃の「踏み台」として悪用される。
高い専門知識がある場合を除き、興味本位でのアクセスは非常に危険です。
■ セキュリティ担当者と経営層のコミュニケーションを円滑にするポイント
セキュリティ用語の理解は重要ですが、すべての専門知識を深く学ぶ必要はありません。経営者が押さえるべきは以下の3点です。
1. 「何を守るための対策か」という目的を理解する
用語そのものよりも
「それは何のリスクを防ぐためのものなのか」
を把握することが大切です。
2. “費用対効果”ではなく “被害対効果”で判断する
セキュリティはコストではなく、
被害を回避するための投資 です。
攻撃を受けた際の損失(復旧費用・風評被害・業務停止)を考えると、必要な対策の妥当性が判断しやすくなります。
3. 専門用語ではなく「リスクベース」で話すよう依頼する
担当者には、次のように伝えるとコミュニケーションが改善します。
・「技術ではなく、リスク観点で説明してほしい」
・「何を防ぐための対策なのかを先に教えてほしい」
・「経営判断に必要なポイントだけまとめてほしい」
■ まとめ
セキュリティが高度化し、専門用語が年々増える中で、経営者や非専門社員が理解しづらいのは当然です。しかし、今回取り上げた10の基本用語を把握しておくだけで、担当者との会話の質が大きく向上します。
脆弱性、MFA、DLP、WAF、EDR、ゼロトラスト、ダークウェブなどは、今や企業運営に欠かせない標準知識です。
これらを理解することで、適切な投資判断ができるだけでなく、組織全体のセキュリティ意識を高めることにもつながります。
セキュリティ対策は、担当者だけの仕事ではなく、企業全体で取り組むべき経営課題です。
わかりやすい共通言語を持つことで、組織全体が「守れる会社」への一歩を踏み出すことができます。