ダークウェブは「災害時」の危険信号? ~緊急事態における情報漏洩リスクとBCP対策~

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    ダークウェブは「災害時」の危険信号? ~緊急事態における情報漏洩リスクとBCP対策~
    作成日時 25/08/12 (08:27) View 53




    企業が予期せぬ自然災害に見舞われたり、大規模なシステム障害に直面したりする「緊急事態」。このような混乱期は、事業継続の課題が喫緊のものとして浮上しますが、同時に、情報セキュリティ上のリスクも飛躍的に高まることをご存知でしょうか。平時であれば防げたはずの情報漏洩やサイバー攻撃が、混乱に乗じて発生する可能性があり、特に匿名性の高いダークウェブへの情報流出は、企業の存続を揺るがす深刻な脅威となりかねません。

    本稿では、緊急事態下における情報漏洩リスクが増大する背景を解説し、混乱に乗じたダークウェブへの情報流出を未然に防ぐための事業継続計画(BCP)へのセキュリティ要素の組み込み方、そして万が一のインシデント発生時に備えたダークウェブモニタリングの重要性について、企業の視点から深く考察します。
     

    緊急事態における情報漏洩リスクの増大

    自然災害(地震、台風、洪水など)や大規模なシステム障害、パンデミックといった緊急事態が発生すると、企業は通常とは異なる状況に陥ります。この混乱こそが、サイバー犯罪者や悪意あるインサイダーにとって絶好の機会となり、情報漏洩リスクを増大させる要因となります。

    主なリスク増大要因は以下の通りです。

    1.     セキュリティ体制の脆弱化:
    緊急時には、従業員の安否確認、事業拠点の被害状況確認、インフラの復旧作業などが最優先され、セキュリティ監視や日常的な運用業務が手薄になりがちです。情報システム担当者が不足したり、通常とは異なる場所に退避して業務を行ったりすることで、セキュリティポリシーの遵守が困難になったり、一時的にセキュリティが緩和されたりする可能性があります。例えば、通常では許可されない経路での情報持ち出しや、セキュリティパッチの適用遅延、不正なアクセスに対する検知の遅れなどが生じやすくなります。

    2.     従業員の心理的・物理的混乱:
    緊急事態は、従業員に大きな心理的負担をかけます。私生活での被害や不安、業務環境の変化などにより、注意力が散漫になったり、判断力が低下したりすることがあります。これにより、フィッシング詐欺やソーシャルエンジニアリングの被害に遭いやすくなったり、うっかりミスで機密情報を外部に漏洩させたりするリスクが高まります。また、通常と異なる環境(自宅や代替オフィス、避難所など)で業務を行うことで、セキュリティが確保されていないネットワークを利用したり、公共の場で機密情報を扱うなど、物理的な情報管理が疎かになる可能性もあります。

    3.     攻撃者による混乱への便乗:
    サイバー犯罪者は、社会の混乱や人々の不安に便乗して攻撃を仕掛ける傾向があります。緊急事態関連の偽情報を装ったフィッシングメールや、災害支援を装ったマルウェアの配布など、巧妙な手口で従業員の情報を窃取しようとします。また、企業のITシステムが復旧作業で一時的に脆弱になる瞬間を狙って、侵入を試みることも考えられます。情報システムがダウンしている間は、ログの収集や監視が困難になるため、攻撃者は検知されにくい状態で活動できる機会を得てしまいます。

    4.     インサイダーによる不正行為のリスク:
    企業の混乱期は、組織への不満を持つ従業員や、金銭的困窮に陥った従業員が、情報を不正に持ち出そうとするインセンティブが高まる時期でもあります。通常の監視体制が緩むことを利用し、機密情報をUSBメモリにコピーしたり、個人のクラウドストレージに転送したりして、後日ダークウェブで売買するなどの行為に及ぶリスクも否定できません。退職者がアクセス権限を完全に失う前に情報を持ち出すケースも考えられます。

    これらの要因が複合的に作用することで、緊急事態下では情報漏洩のリスクが平時よりも格段に高まり、一度流出した情報は匿名性の高いダークウェブへと拡散し、長期にわたる脅威となる可能性があります。
     

    BCP(事業継続計画)へのセキュリティ要素の組み込み方

    緊急事態における情報漏洩リスクを軽減するためには、単に事業継続のためのインフラ復旧や業務プロセスの回復だけでなく、情報セキュリティの要素をBCPに深く組み込むことが不可欠です。

    BCPに組み込むべきセキュリティ要素は以下の通りです。

    1.     緊急時セキュリティ体制の明確化:

          役割と責任の明確化: 緊急時における情報セキュリティ責任者、対応チーム、各部署の役割と責任を事前に明確にします。連絡体制や指揮系統も確立し、混乱時でも機能するように訓練します。

          代替手段の確保: 通常のセキュリティ監視システムやツールが利用できない場合の代替手段(手動監視、オフラインでのデータ保全など)を計画します。

          優先順位付け: 復旧作業において、どの情報システムやデータが最も機密性が高く、優先的に保護すべきかを事前に特定し、それに応じたセキュリティ対策の優先順位を設定します。

    2.     緊急時におけるアクセス管理の徹底:

          権限の最小化: 緊急時であっても、必要最小限のアクセス権限のみを付与する「最小権限の原則」を徹底します。特に、災害復旧のために一時的に付与する特権アカウントは、その利用を厳重に監視し、終了後は速やかに無効化する手順を定めます。

          多要素認証の導入と強化: リモートからのアクセスが増えることを想定し、多要素認証(MFA)の導入を必須とします。緊急時でもMFAが機能するよう、代替の認証手段(例:オフライン認証コード)も検討します。

          リモートアクセスの安全確保: 自宅や代替オフィスからのアクセス経路のセキュリティを確保します。VPNの利用を徹底し、セキュアなリモートデスクトップ環境を提供します。従業員が利用する個人のデバイスに対しても、セキュリティ基準を定め、遵守を求めます。

    3.     データバックアップとリカバリ計画の強化:

          複数拠点でのバックアップ: 重要なデータは、地理的に離れた複数拠点にバックアップを取ります。クラウドストレージの活用も有効ですが、そのセキュリティ設定とアクセス制御には十分注意を払います。

          データ復旧手順の確立: バックアップからのデータ復旧手順を明確にし、定期的にテストを実施します。復旧作業の過程でデータが漏洩しないよう、厳格なセキュリティ管理を行います。

          スナップショットと不変ストレージ: ランサムウェア対策として、スナップショット機能やイミュータブルストレージ(不変ストレージ)の導入を検討します。これにより、攻撃者がデータを暗号化・改ざんしても、安全な時点のデータを復旧できます。

    4.     緊急時における情報共有とコミュニケーション計画:

          セキュアなコミュニケーション手段: 緊急時における社内外への情報共有手段を事前に確立します。通信障害やサイバー攻撃に強い、セキュアな代替コミュニケーションツール(衛星電話、オフラインでも利用可能なメッセージングアプリなど)を準備します。

          情報開示のポリシー: インシデント発生時の情報開示(誰に、何を、いつ、どのように伝えるか)に関するポリシーを策定し、法務部門や広報部門と連携して準備を進めます。誤った情報や不確かな情報の拡散を防ぐため、情報発信の一元化を図ります。

    5.     従業員のセキュリティ意識向上と訓練:

          緊急時のセキュリティ教育: 平時から、緊急時における情報セキュリティの重要性、具体的な行動規範、注意点について従業員を教育します。例えば、不審なメールの見分け方、安全なネットワーク接続の方法、機密情報の取り扱いルールなどを周知徹底します。

          BCP訓練へのセキュリティ演習の組み込み: BCP訓練の一環として、情報セキュリティインシデント発生を想定した演習(例:フィッシングシミュレーション、インシデント対応訓練)を定期的に実施し、従業員の対応能力と意識を高めます。

    これらのセキュリティ要素をBCPに組み込み、定期的に見直しと訓練を行うことで、企業は緊急時においても情報セキュリティ体制を維持し、情報漏洩リスクを最小限に抑えることができます。
     

    インシデント発生時のダークウェブモニタリングの重要性

    万が一、緊急事態下で情報漏洩やサイバー攻撃が発生してしまった場合、その情報がダークウェブに流出する可能性は極めて高いです。このような状況において、ダークウェブモニタリングは、被害状況の把握と拡大防止、そして将来の対策立案のために以下のように不可欠な役割を果たします。

    1.     早期発見による被害の最小化:
    情報がダークウェブに流出してから時間が経つほど、その情報は広範囲に拡散して被害が拡大します。ダークウェブモニタリングサービスを利用することで、自社の機密情報や顧客の個人情報がダークウェブ上で取引され始めた初期段階でその兆候を検知し、被害の拡大を早期に食い止めるための初動対応を迅速に開始できます。例えば、流出した認証情報が確認されれば、関連するアカウントのパスワードを強制的にリセットし、多要素認証を適用するといった対策をすぐに講じることが可能になります。

    2.     流出情報の特定と影響範囲の把握:
    インシデント発生時、どのような情報が、どの程度流出したのかを正確に把握することは非常に困難です。ダークウェブモニタリングは、流出した情報の種類(顧客データ、従業員情報、企業秘密、技術情報など)や量、そしてそれが具体的にどこで、どのように取引されているのかを特定するのに役立ちます。これにより、影響範囲を正確に評価し、関係者への適切な通知(法規制に基づく報告義務を含む)や、被害者へのサポートを迅速に実施することができます。

    3.     攻撃手法や関連情報の収集:
    ダークウェブは、サイバー犯罪者が攻撃手法、ツール、脆弱性情報などを共有する場に使われています。自社への攻撃が発生した場合、ダークウェブモニタリングを通じて、攻撃者が使用した手法や、自社に関連する新たな脆弱性情報、さらには他の企業に対する同様の攻撃計画に関する情報を収集できる可能性があります。これらの情報は、将来の攻撃に対する防御策を強化するための貴重な脅威インテリジェンスとなります。

    4.     信頼回復と風評被害対策:
    情報漏洩が発覚した場合、企業は顧客や取引先からの信頼を失い、深刻な風評被害に直面します。ダークウェブモニタリングによって、流出した情報の正確な状況を把握し、それに基づいて迅速かつ透明性のある対応を行うことは、信頼回復に向けた重要なステップとなります。また、誤情報や誹謗中傷がダークウェブやその周辺で拡散される兆候を早期に捉え、適切な対策を講じることで、風評被害の拡大を抑制できる可能性もあります。


    ダークウェブモニタリングサービスの選定と活用

    インシデント発生時に備え、平時から信頼できるダークウェブモニタリングサービスを選定しておくことが重要です。選定の際には、以下の点に注目しましょう。

          監視対象の範囲: 企業名、ドメイン、IPアドレスだけでなく、従業員名、メールアドレス、特定の機密情報名など、広範なキーワードを監視できるか。

          検知精度と通知機能: 誤検知が少なく、重要な情報を迅速かつ正確に通知してくれるか。

          専門家による分析サポート: 検知された情報の解釈や、その後の対応について、セキュリティの専門家によるサポートを受けられるか。

          法規制遵守の体制: サービス提供企業が個人情報保護法などの関連法規を遵守し、合法的な方法で情報収集を行っているか。

    緊急事態は予期せず訪れます。その際に企業が事業を継続し、さらに情報セキュリティの危機を乗り越えるためには、平時からの周到な準備と、万が一の際に迅速に対応できる体制が不可欠です。

    ダークウェブは、混乱に乗じた情報漏洩の「危険信号」が発せられる場所であり、その兆候を捉えるためのモニタリングは、現代のBCPにおいて不可欠なセキュリティ要素と言えるでしょう。この意識を持ち、適切な対策を講じることで、企業はどんな危機的状況下でも情報資産を守り、事業の持続性を確保できるはずです。



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