PDFマルウェアとは?仕組み・感染経路・安全な対策と見分け方を徹底解説

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    PDFマルウェアとは?仕組み・感染経路・安全な対策と見分け方を徹底解説
    作成日時 25/11/18 (08:17) View 299




    近年、PDF形式を悪用したマルウェア攻撃が急増しています。ファイルを開くだけでウイルスに感染する、偽装されたログイン画面で情報を盗まれるのような事例が、国内外の企業で相次いで報告されています。

    本記事では、PDFマルウェアの仕組みや感染経路、代表的な種類から、見分け方と実践的な対策までを体系的に解説します。


    PDFマルウェアとは

    PDFマルウェアとは、PDFファイルの内部に悪意のあるコードやスクリプトを仕込み、ファイルを開いたユーザーの端末にウイルスを感染させる攻撃手法です。特別な操作をしなくても、ただファイルを開くだけで感染してしまうケースもあり、従来の添付ファイル型ウイルスとは一線を画しています。

     

    たとえば、日々の業務でメールに添付されたPDFを開くと同時に、システムの脆弱性を突かれてマルウェアが自動実行される。あるいはPDFに見せかけたファイルを誤って開いてしまい、認証情報が外部に送信されることもあります。

     

    PDFマルウェアの厄介な点は、見た目では危険性がわからず、ウイルス対策ソフトでも検知できない場合があることです。攻撃者は巧妙にコンテンツを偽装し、信頼されやすいファイル形式を悪用します。

    こうした背景から、PDFマルウェアはフィッシングメールや標的型攻撃、サプライチェーン攻撃の一環としても頻繁に使われており、特に従業員数の多い企業では、誰か1人でも開けば感染というリスクが常に潜んでいます。

     

    マルウェアに関しては、以下記事で詳細に解説しております。

    知らないと危険!マルウェアとは?種類・感染経路・対策方法を徹底解説

    「マルウェア」と「ウイルス」の違いとは?今すぐできる簡単な対策法も解説!


    PDFにマルウェアが含まれる仕組み

    PDFファイルは、ドキュメントでありながらJavaScriptや埋め込みオブジェクトを扱える構造を持つ性質上、攻撃者にとって都合のよい侵入口となります。見た目は普通の書類でも、内部ではプログラムが動く実行可能なコンテナとして悪用されるのです。

     

    攻撃の流れは、ファイルを開いた瞬間に始まります。PDFリーダーがファイル内のJavaScriptを自動的に読み込み、端末のOSやソフトのバージョンを裏で調べる処理が動きます。もし古いバージョンや脆弱な設定が見つかれば、攻撃者が仕込んだ不正プログラムが自動的に実行され、外部から操作できる裏口(バックドア)や攻撃者と通信するための仕掛け(リバースシェル)がひそかに組み込まれるのです。何も操作しなくても、開いただけで感染するケースもあります。

     

    また、PDFファイルの中に「実行ファイル(EXEやDLL)」を丸ごと隠しておく手口も存在します。たとえるなら、PDFが宅配便の箱で、中に危険なプログラムが梱包されていて、それが開封と同時に動き出すようなイメージです。

     

    悪質なケースでは、PDFが勝手にインターネットを通じて攻撃者のサーバー(C2サーバー)にアクセスし、端末情報を外部に送信することもあります。こうした通信をきっかけに、追加のマルウェアをダウンロードされたり、さらなる攻撃を仕掛けられたりするリスクも出てきます。

     

    このように、PDFマルウェアは「開封→スクリプト実行→脆弱性攻撃→コード実行→外部通信」という一連のステップで進行します。ファイル1つで、情報漏洩や遠隔操作の足がかりが完成することを理解しておかなければいけません。


    PDFマルウェアの種類

    PDFマルウェアにはいくつかのタイプが存在し、それぞれ異なる攻撃手法を用いてユーザーやシステムを狙います。ここでは実際に確認されている代表的な4種類の手口について解説します。 

    いずれも一見しただけでは判別しにくく、業務で日常的にやりとりするPDFにも紛れ込む可能性があるため、仕組みと挙動の理解が欠かせません。

    ・埋め込み型JavaScriptマルウェア

    このタイプは、PDF内部に埋め込まれたJavaScriptが自動的に実行されることで感染します。PDFリーダー(とくにAdobe系)はJavaScriptに対応しており、攻撃者はこの機能を悪用してOSやアプリケーションの脆弱性を突くコードを動かします。

    実行内容は環境調査、マルウェアのダウンロード、リバースシェルの起動など多岐にわたり、ユーザーがファイルを開くだけで被害が発生する危険なタイプです。

    Exploit付きPDF(エクスプロイトPDF)

    特定の脆弱性を狙って作成されたクラフトPDFです。ゼロデイや既知の脆弱性を対象にし、PDFを開いた瞬間に攻撃コードを強制実行させます。

    とくに危険な点は、OSやPDFリーダーのパッチ未適用環境で、何の操作もなく感染が成立しまう点です。標的型攻撃やAPT攻撃でよく利用されており、組織のセキュリティホールを突く精度の高い攻撃手法といえます。

    Dropper型PDF(ファイルドロッパー)

    Dropper型は、PDF内部に悪意ある実行ファイル(EXEやDLL)を格納し、ユーザー操作やスクリプトによってこれを展開・実行するものです。PDFそのものがマルウェアの搬送装置となり、初期感染後に追加の攻撃ツールを展開します。

    防御をすり抜けやすく、外部サーバーへのアクセスが制限されている環境でも内部拡散を狙う手口として警戒しなければいけません。

    フィッシング型PDF

    このタイプは、PDF内にHTMLフォームや偽のログイン画面を埋め込み、ユーザーの入力を誘導します。実在するクラウドストレージや社内ポータルを模倣し、ID・パスワードなどの情報を盗み取ることを目的としています。

    たとえば、「文書の閲覧にはログインが必要です」といったメッセージが表示され、認証画面を装った入力欄がPDF内に表示される仕組みです。見た目の巧妙さゆえに、セキュリティリテラシーの高い担当者でも騙されることがあります。


    PDFマルウェアの感染経路

    攻撃者は、企業が日常的に使用するチャネルを悪用し、あたかも通常業務の一環であるかのようにPDFマルウェアを届けてきます。ここでは、主要な感染経路を紹介します。

    メール添付(フィッシングメール)

    もっとも一般的な感染経路は、フィッシングメールによるものです。

    件名は「請求書」「業務連絡」「セキュリティアップデートのお知らせ」など、受信者の業務と関連づけられた内容が多く、PDFファイルが添付されています。本文中には「至急ご確認ください」などと記載され、緊急性や業務上の義務を装うことで開封を促します。

     

    このようなメールは一見すると正規の取引先や社内からの連絡に見えるため、添付ファイルに対する警戒が薄れがちです。ファイルを開いた瞬間に感染するタイプやドロッパー型・フィッシング型と組み合わせた手法も増えています。

    Webサイト経由のダウンロード

    業務で使用するツールのアップデートや資料ダウンロードを装って、不正なPDFを配布するケースもあります。とくに広告経由で誘導される偽サイト、検索エンジンからヒットするダウンロードページは注意が必要です。

    正規のソフトやホワイトペーパーを装い、PDFにマルウェアが仕込まれていることもあります。

     

    この手法は、標的を絞ったメールと異なり、不特定多数を狙う「ばらまき型攻撃」に多く使われています。情シス担当としては、業務PCでの不用意なダウンロードを防ぐ運用ルールの整備が重要です。

    ファイル共有サービスやクラウド経由

    Google Drive、Dropbox、OneDriveなどのファイル共有サービスも、マルウェア拡散の経路として悪用されます。

    メールではフィルタリングされるファイルも、クラウド経由であればセキュリティをすり抜ける可能性があり、攻撃者はリンク共有機能を利用してPDFを配布する仕組みです。

     

    たとえば「新しい業務マニュアルの確認をお願いします」という文面とともに、共有リンクが送られてくる場合があります。受信者が疑わずにアクセス・ダウンロード・閲覧すれば、感染リスクが生じます。クラウドに対する信頼が逆に攻撃を成立させる例といえるでしょう。


    PDFマルウェアを見分けるポイント

    PDFマルウェア対策において重要なのが、不審なPDFファイルをいち早く察知する視点を持つことです。以下では、日常業務の中でPDFマルウェアを見分けるための実用的なチェックポイントを紹介します。

    ファイルサイズ・拡張子の違和感

    一般的な業務用PDFと比較して、サイズが異常に大きい、あるいは逆に不自然に小さいファイルは注意が必要です。たとえば数行しか書かれていない文書にもかかわらず、数MBを超える場合は、内部に不要なデータやスクリプト、さらには実行ファイルが含まれている可能性があります。

     

    また、拡張子が.pdfであっても、実際はファイル形式が偽装されているケースもあります。二重拡張子(example.pdf.exe)やファイル名にゼロ幅スペースを含めて判別しにくくする手法が使われることもあるため、ダウンロード元やプロパティ情報の確認が欠かせません。

    「パスワード付きZIP+PDF」の典型的なパターン

    攻撃者がメールのウイルス検知を回避するために使う手口のひとつに、パスワード付きZIPファイルを使ってPDFマルウェアを配布する方法があります。

    メール本文で「パスワードは別送」と案内し、別メールまたは本文中に記載するという流れでファイルを開かせようとする仕組みです。

    この手口は、一般企業でも実際に業務で使われる場面があるため、判別が難しいという厄介な点があります。しかし、送信者が初見である、ファイル名に違和感がある、メールの文面が定型的すぎるといった要素が重なれば、警戒すべきサインといえるでしょう。

    信頼できない送信元・不自然な文面の特徴

    送信者名が実在する取引先を装っていても、メールアドレスのドメインが微妙に異なる、スペルミスがある、署名が定型的すぎるなどの違和感には注意が必要です。

     

    また、文面の日本語が不自然であったり、馴染みのない言い回しが使われていたりする場合は、翻訳ツールを通じた偽装の可能性もあります。

    「緊急で確認願います」「重要資料につきご対応ください」といった曖昧で圧力的な表現や、「金額変更のお知らせ」などの感情を揺さぶるワードも、マルウェア付きPDFを開かせるための典型的な誘導文句です。


    PDFマルウェアの対策ポイント

    PDFマルウェアは巧妙かつ発見が難しいため、単にウイルス対策ソフトを導入するだけでは不十分です。情報資産を守るには、技術的対策と運用的対策の両方を組み合わせ、PDFという一見安全に見える形式にも常に警戒を払う姿勢が求められます。 

    以下では、実践的かつ効果的な4つの対策を紹介します。

    JavaScript実行を無効化する

    PDFリーダーにおけるJavaScript実行機能の無効化は、埋め込み型マルウェアへの有効な防御手段です。社内で使用するリーダーソフトの標準設定を変更し、全社員に適用するポリシーを定めましょう。

    ただし、フォーム機能など一部の業務でJavaScriptが必要なケースもあるため、その場合は利用部門ごとに例外設定と監査ルールを明確にしておきましょう。

    ソフトウェアとOSを最新の状態に保つ

    PDFマルウェアの多くは、既知の脆弱性を突いて攻撃を仕掛けてきます。PDFリーダー、ブラウザ、OSの脆弱性は常に狙われるため、これらのソフトウェアを最新版に保つことが基本対策となります。

    パッチ適用の自動化や一元管理ツールの導入を通じて、全社的なアップデートの徹底を図るべきです。また、バージョン管理を怠ると、個別端末が抜け穴となり、そこから全体が危険にさらされる可能性があります。

    EDRの導入

    従来のアンチウイルスソフトだけでは検出しきれないファイル型攻撃に対して、EDR(Endpoint Detection and Response)は有効です。EDRは、端末内での異常な挙動(たとえば、PDFを開いた直後のプロセス起動や外部通信)を監視し、リアルタイムで検知・対応を行います。

    導入にあたっては、自社の端末環境やネットワーク構成に合わせた製品選定が重要です。異常検知後の自動隔離や詳細ログ取得といった機能が充実しているツールを選ぶことで、万が一の被害も最小限に抑えられます。

    従業員教育

    いくら技術的な防御を強化しても、ユーザーが不用意にファイルを開いてしまえば意味がありません。日頃から、メールやファイルに対する開く前に疑う習慣を根づかせることが、実質的な最終防衛ラインになります。

    研修や模擬攻撃演習(ペネトレーションテスト)を通じて、従業員に疑わしいPDFの見分け方や開いてしまった際の対応フローを教育しておけば、インシデント対応力が格段に向上します。また、怪しいファイルを開かずに報告する文化を組織内で促進することも重要です。


    PDFマルウェアへの理解と早めの対策が重要

    PDFマルウェアは、業務で日常的に扱うファイルに潜む見えにくい脅威です。埋め込まれたスクリプトや脆弱性を突くコードにより、ファイルを開くだけで感染する場合もあり、従来のウイルス対策では防ぎきれません。

     

    攻撃はメール、Webサイト、ファイル共有サービスなど多様な経路で行われ、あらゆる企業が標的になり得ます。特にフィッシングメールとの連携や正規クラウドを装った手法は、従業員の警戒と判断力が問われます。

    そのため、EDRの導入やアップデート管理だけでなく、従業員教育とセキュリティ意識の醸成が重要です。個々の操作ミスが、情報漏洩やシステム障害といった全社的な被害に直結するリスクがあります。

     

    近年では、PDFマルウェアにより窃取された認証情報がダークウェブで売買され、二次被害や標的型攻撃につながる事例も増えています。外部に流出した情報を自社で把握できない事態を防ぐには、ダークウェブ上の情報流通を継続的に監視する体制が不可欠です。

     

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