SBOMとは?入門者でもわかる重要性やメリットと始め方

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    SBOMとは?入門者でもわかる重要性やメリットと始め方
    作成日時 24/09/10 (08:26) View 98



    あなたの企業が開発・使用しているソフトウェア、その中身を本当に把握していますか? 日々進化するデジタル世界で、ソフトウェアの「レシピ」を知ることが、ビジネスの成功と安全性を左右する時代が到来しています。その鍵を握るのが「SBOM(Software Bill of Materials)」です。

     

    サイバー攻撃の脅威が増大し、規制が厳しくなる中、SBOMは単なる技術文書ではなく、企業の競争力を高める戦略的ツールとなっています。アメリカ政府が導入を義務付け、世界中の企業が採用を急ぐこの「ソフトウェアの成分表」が、なぜそれほど重要なのでしょうか?

     

    本記事では、SBOMの基本から具体的なメリット、そして実践的な導入手順まで、わかりやすく解説します。セキュリティリスクの低減、コンプライアンスの強化などSBOMがもたらす多様なメリットを知ることで、あなたの企業のデジタル戦略が一歩先を行くものになるでしょう。


     

    SBOMとは

    SBOM(Software Bill of Materials)は、ソフトウェアを構成するすべてのコンポーネントの詳細な一覧を記載した文書です。これは、製造業における部品表の概念をソフトウェア開発に適用したものと言えます。具体的には以下のような情報が含まれます。

     

       コンポーネントの名前とバージョン

       ライセンス情報

       製造元・提供元の情報

       既知の脆弱性情報

     

    SBOMは、ソフトウェアの「レシピ」あるいは「成分表」として機能し、開発者、セキュリティ専門家、法務担当者など、さまざまなステークホルダーにとって重要な情報源となります。Z

    重要性

    SBOMが重要視される大きな理由の1つが、近年のサイバー攻撃の増加です。ソフトウェアの脆弱性を突いた攻撃が後を絶たず、企業は常に危機にさらされています。こうした中、SBOMを活用することで、使用しているソフトウェアの脆弱性を迅速に特定し、適切な対策を講じることができるのです。

     

    また、現代のソフトウェア開発では、オープンソースソフトウェアの利用が欠かせません。しかし、オープンソースには独特のライセンス体系があり、利用条件を誤ると法的リスクを招く恐れがあります。SBOMを作成しておけば、使用しているオープンソースのライセンス情報を明確に把握でき、コンプライアンス違反を未然に防ぐことができます。

     

    さらに、政府機関による法規制の強化も、SBOMの重要性を高めています。例えば米国では、連邦政府調達のソフトウェアにSBOMの提出が義務付けられる動きがあります。法規制に対応するためにも、早めにSBOMの整備に取り組むことが賢明だと言えるでしょう。

     

    このように、SBOMはセキュリティ、コンプライアンス、法規制など、現代のソフトウェア開発・利用における課題に応えるための重要なツールなのです。ソフトウェアのサプライチェーンが複雑化する中、SBOMなくしては、安心・安全なシステム構築は難しいと言っても過言ではありません。


    SBOMの構成要素

    SBOMは、ソフトウェアを構成する各コンポーネントに関する重要な情報を網羅的に記録します。これらの構成要素は、ソフトウェアの透明性を確保し、セキュリティ、コンプライアンス、品質管理などの多様な目的に活用されます。以下に、SBOMの主要な構成要素とその重要性について詳しく説明します。

    コンポーネント識別情報

    コンポーネント識別情報は、SBOMの最も基本的かつ重要な要素です。これには以下の情報が含まれます。

     

       名称:コンポーネントの正式名称

       バージョン:使用されている具体的なバージョン番号

       ベンダー:コンポーネントの開発者や提供元

       一意の識別子:PURL (Package URL) やCPE (Common Platform Enumeration) などの標準化された識別子

     

    これらの情報により、各コンポーネントを明確に特定することができ、バージョン管理や脆弱性の追跡が容易になります。

    ライセンス情報

    ライセンス情報は、法的コンプライアンスを確保するために重要です。これには以下の内容が含まれます。

     

       ライセンスの種類:GPL、MIT、Apache など

       ライセンスのバージョン

       ライセンスの条件や制約事項

    依存関係

    依存関係の情報は、ソフトウェアの構造を理解し、潜在的な問題を特定するために役立ちます。これには以下の情報が含まれます。

     

       直接的な依存関係:当該コンポーネントが直接利用している他のコンポーネント

       間接的な依存関係:依存先のコンポーネントがさらに依存している他のコンポーネント

       依存関係の種類:必須、オプション、開発時のみ 等

    脆弱性情報

    既知の脆弱性に関する情報は、セキュリティリスク管理に不可欠です。主な情報は以下の通りとなります。

     

       CVE (Common Vulnerabilities and Exposures) 識別子

       CVSS (Common Vulnerability Scoring System) スコア

       影響を受けるバージョン範囲

       修正可能なバージョン情報

       脆弱性の概要と潜在的な影響

    プロバイダ情報

    コンポーネントの提供元や入手先に関する情報は、ソフトウェアサプライチェーンの透明性を確保するために重要です。これには以下の情報が含まれます。

     

       開発者/企業名

       公式ウェブサイトURL

       ダウンロードURL

       サポート情報

    ハッシュ値

    ハッシュ値は、コンポーネントの完全性を確認するために使用されます。一般的に使用されるハッシュアルゴリズムには、SHA-256、SHA-1、MD5などがあります。ただし、MD5とSHA-1は現在セキュリティ上の理由で推奨されていません。

    著作権情報

    著作権情報は、法的な観点から重要です。これには以下の情報が含まれます。

     

       著作権者名

       著作年

       著作権表示



    SBOMの主要フォーマット

    SBOMの作成と共有を標準化するために、いくつかの主要なフォーマットが開発されています。これらのフォーマットは、SBOMの構造化された表現を提供し、異なるツールやシステム間での互換性を確保します。以下に、主要なSBOMフォーマットとその特徴、使用例について詳しく説明します。

    SPDX (Software Package Data Exchange)

    SPDXは、Linux Foundationが管理する国際標準(ISO/IEC 5962:2021)のSBOMフォーマットです。オープンソースソフトウェアのライセンスコンプライアンスに焦点を当てていますが、幅広い用途に適用できます。主に大規模なオープンソースプロジェクトやエンタープライズソフトウェアで広く使用されています。

     

    【特徴】

       広範なライセンス情報のサポート:300以上の標準ライセンス識別子を定義

       柔軟なデータモデル:複雑なソフトウェア構成も表現可能

       複数のファイル形式をサポート:JSON、RDF、XML、YAML

       豊富なメタデータ:作成者、タイムスタンプ、ツール情報などを含む

       関係性の表現:ファイル間、パッケージ間の関係を詳細に記述可能

    CycloneDX

    CycloneDXは、OWASP(Open Web Application Security Project)によって開発されたSBOMフォーマットです。サイバーセキュリティとソフトウェアサプライチェーンの透明性に重点を置いており、特にセキュリティ関連の情報を詳細に記述できます。

     

    そのため、セキュリティ重視の企業や、DevSecOpsプラクティスを採用している企業で広く使用されています。例えば、金融機関や政府機関のアプリケーション開発プロジェクトでよく利用されています。

     

    【特徴】

       セキュリティ脆弱性情報の包括的なサポート:CVE、CVSS、アドバイザリ情報など

       軽量で使いやすい構造:必要最小限の情報から始め、拡張可能

       JSON、XML形式をサポート

       コンポーネントの種類の多様性:アプリケーション、フレームワーク、ライブラリ、コンテナ、ファームウェアなど

       サービス依存関係の表現:クラウドサービスやAPIなどの外部サービスも記述可能

       組成分析のサポート:ソフトウェアの構成要素の詳細な分析が可能

    SWID (Software Identification Tag)

    SWIDは、ISO/IEC 19770-2:2015で標準化されたフォーマットです。主にソフトウェア資産管理(SAM)とIT資産管理(ITAM)の分野で使用されています。

     

    【特徴】

       ソフトウェアの識別と管理に特化:インストール済みソフトウェアの追跡に適している

       詳細な製品情報とライフサイクル管理のサポート

       XML形式を使用

       タグの種類:プライマリタグ、パッチタグ、コアパッチタグ、補足タグをサポート

       エンタイトルメント情報:ライセンス権利や使用条件の記述が可能

       デジタル署名のサポート:タグの真正性と完全性を確保

     

    企業のIT資産管理システムや、ソフトウェアベンダーのライセンス管理ソリューションで広く使用されています。



    SBOMの具体的なメリット

    SBOMの導入は、企業にさまざまな利点をもたらします。以下に、主要なメリットを詳しく解説します。

    サイバーセキュリティの強化

    SBOMを活用することで、企業は使用しているソフトウェアのすべての構成要素を詳細に把握できます。これにより、既知の脆弱性を持つコンポーネントを迅速に特定し、必要なセキュリティパッチをタイムリーに適用することが可能です。

    セキュリティインシデントが発生した際の被害を最小限に抑え、対応時間も大幅に短縮できるでしょう。

    コンプライアンス対応

    SBOMは、ソフトウェアに使用されているオープンソースのライセンス情報を一元的に管理します。そのため、意図しないライセンス違反のリスクを低減し、法規制や社内ポリシーへの準拠が容易になります。また、監査対応が簡素化され、社内外のコンプライアンス要件を満たすための手続きが効率化されます。

    品質管理プロセスの強化

    SBOMを通じて、ソフトウェアの構成要素やバージョン情報を正確に把握できます。これにより、古くなったコンポーネントやサポートが終了したライブラリを特定し、最新かつ安全なバージョンへの更新を促進できます。

     

    また、ソフトウェアの依存関係が複雑な場合でも、SBOMによりその関係を可視化し、潜在的な問題を事前に発見・解決することが可能です。

    サプライチェーンのリスク管理

    SBOMは、ソフトウェアサプライチェーン全体の透明性を向上させます。使用するすべてのコンポーネントの出所を把握できるため、不正なコンポーネントの混入リスクを効果的に管理できます。

     

    また、サードパーティから提供されるソフトウェアについても、その構成を詳細に理解することで、サプライチェーン全体のリスク評価と管理を強化できます。



    SBOMの導入・作成手順

    SBOMの導入は企業の規模や成熟度に応じて段階的に行うのが効果的ですが、一般的な手順は以下の通りです。

    目的と範囲の明確化

    SBOM導入を成功させるためには、まず導入の目的と範囲を明確にすることが重要です。自社の優先事項を特定し、SBOMを適用するソフトウェア製品やその範囲を決定します。この段階で短期的および長期的な目標も設定しましょう。

    経営層の支援獲得

    SBOMの導入には、企業全体の協力が欠かせません。そのためには、経営層からの支援を確保することが重要です。経営層の支援を獲得するためには、以下のアプローチが役立ちます。

     

       ビジネス価値の明確化: SBOMが企業にもたらす具体的なメリットを示しましょう。例えば、「セキュリティリスクの低減により、将来的なインシデント対応コストを削減できる」といった具体的なビジネス価値を伝えると良いでしょう。

       コストとROIの提示: 導入にかかるコストと、予想されるリターンを詳細に示します。例えば、「導入費用が○○万円だが、セキュリティインシデントを防ぐことで数億円の損失を回避できる」といった具体的な数字があると、説得力が増します。

       業界動向や規制要件の強調: 最近の業界トレンドや、今後の規制強化に対応するためにSBOMが必要不可欠であることを伝えると、経営層からの理解を得やすくなります。政府系機関や有名コンサルティングファームなどの信頼性の高い調査データを用いると良いでしょう。

    適切なフォーマットの選択

    次に、企業のニーズや業界標準に基づき、適切なSBOMフォーマットを選択します。代表的なフォーマットには以下のものがあります。

     

       SPDX: オープンソースで広く使われているフォーマットで、ライセンス情報やセキュリティデータの記録に優れています。

       CycloneDX: セキュリティとコンプライアンスに特化したフォーマットで、脆弱性の特定や依存関係の管理がしやすい特徴があります。

       SWID: 商用ソフトウェアに多く使われるフォーマットで、資産管理に強みがあります。

     

    選択にあたっては、主要な顧客やパートナーがどのフォーマットを求めているかを確認し、既存のツールやプロセスとの互換性、将来的な拡張性も考慮しましょう。必要に応じて、複数のフォーマットを併用することも視野に入れると良いでしょう。

    ツールの選定と導入

    SBOMの生成、管理、分析を支援するツールを選定し、導入します。オープンソースのツールと商用のソリューションの両方を評価し、PoC(Proof of Concept)を実施してツールの有効性を確認しましょう。また、既存の開発・セキュリティツールとの統合可能性を重視することで、効率的な運用が可能になります。


    SBOMの生成と検証

    選定したツールを用いて、SBOMを生成し、その内容を検証します。

     

       自動化による効率化: CI/CDパイプラインにSBOMの生成プロセスを組み込むことで、開発サイクルの中で継続的にSBOMを生成・更新できます。これにより、手動作業の削減と正確性の向上が期待できます。

       サンプリング検証: 自動生成されたSBOMが正確で完全かどうかを定期的にチェックします。サンプリング検証を行うことで、不足や誤りがないかを確認し、必要に応じて改善を行います。

    SBOMの管理と共有

    生成されたSBOMを安全に保管し、必要に応じて関係者と共有する仕組みを構築します。SBOMの保管・バージョン管理のためのリポジトリを設置し、適切なアクセス制御ポリシーを策定・実装しましょう。

    内部チーム、顧客など関係者との共有プロセスを確立することも重要です。SBOMの機密性を考慮し、適切なアクセス制御を実装してください。

    継続的な更新と改善

    ソフトウェアの更新や新しいコンポーネントの追加に合わせて、SBOMを定期的に更新していく必要があります。SBOMの更新トリガーとなるイベント(新しいリリース、パッチ適用、コンポーネント変更など)を定義し、更新プロセスを自動化しましょう。

     

    また、定期的なレビューサイクルを確立し、SBOMの生成と管理プロセスを継続的に評価・改善することが重要です。SBOMの品質メトリクス(完全性、正確性、最新性など)を定義し、定期的に測定してください。さらに、フィードバックループを確立し、開発者、セキュリティ専門家、法務チームからの意見を収集・反映していきましょう。

     

    SBOMの導入は一朝一夕では完了しません。企業の成熟度に応じて段階的に実装し、継続的な改善を通じて完成度を高めていくことが肝要です。セキュリティ強化、コンプライアンス対応、品質向上など、SBOMがもたらす多様なメリットを享受するためにも、じっくりと腰を据えて取り組んでいきましょう。



    まとめ

    多様なソフトウェアの導入が一般的になり、脆弱性を狙ったサイバー攻撃が増加している今、各種ソフトウェアの脆弱性を適切に把握しなければいけません。それに役立つのがSBOMです。SBOMを導入することで、ソフトウェアの透明性が高まり、迅速に脆弱性の特定を行えます。結果的に、セキュリティ強化やコンプライアンスの順守、コスト削減などにつながるのです。

     

    ただし、SBOMの導入だけでは十分とは言えません。サイバー攻撃者は常に新たな手口を編み出しており、その多くはダークウェブ上で取引されています。ダークウェブとは、通常のインターネットからはアクセスできない匿名性の高い領域のことで、違法な商品やサービスが取引される温床となっています。

     

    SBOMで管理しているソフトウェアの脆弱性情報が、ダークウェブ上で売買されているかもしれません。攻撃者がこうした情報を入手し、脆弱性を悪用すれば、大規模な被害につながりかねません。または気づかぬ間にサイバー攻撃を受け、自社の機密情報がダークウェブで売買されている可能性もあります。そのため、ダークウェブ上の脅威情報を継続的に監視し、必要な対策を講じることが極めて重要なのです。

     

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