多要素認証の必要性とは?必須な4つの理由と被害事例を解説

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    多要素認証の必要性とは?必須な4つの理由と被害事例を解説
    作成日時 26/02/17 (08:20) View 61




    昨今のビジネスシーンにおいて、サイバー攻撃による情報漏洩やシステム停止のニュースを目にしない日はありません。特に、テレワークの普及やクラウドサービスの活用が当たり前となった今、企業のログイン情報は常に世界中の攻撃者から狙われています。

    もし自社のセキュリティ対策をパスワードだけに頼っているとしたら、それは危うい状態かもしれません。なぜなら、どれほど複雑なパスワードを設定していても、それだけでは防壁として信用できなくなっているためです。

    そこで今、すべての企業が確実に導入すべきなのが多要素認証(MFA)です。

    本記事では、多要素認証が必須と言われる4つの理由と多要素認証を導入していないがゆえにサイバー攻撃を受けた事例を詳しく解説します。


    多要素認証とは

    多要素認証(MFA)とは、システムやサービスへのログイン時に、性質の異なる複数の情報を組み合わせて本人確認を行う仕組みです。

    従来のような IDとパスワードという、記憶にもとづいた情報だけでログインをするのではなく、さらに別の種類の認証要素を要求することで、物理的または生物学的な裏付けを持たせる手法です。

    一般的に、認証には以下3つの要素が存在します。

    知識要素:パスワードや秘密の質問のように本人が覚えている要素

    所有要素:スマートフォンやICカード、ワンタイムパスワード生成器のように本人が持っている要素

    生体要素:指紋や顔認証、虹彩のように本人そのものを指す要素

    これら3つのうち、異なる2つ以上の要素を組み合わせることが多要素認証となります。

    銀行のキャッシュカードをイメージしてみてください。カードという物理的な所有要素と、暗証番号という知識要素の二つが揃って初めて現金を引き出せます。これは身近な多要素認証の形です。

    ビジネスの現場においては、PCでパスワードを入力した後に、手元のスマートフォンに届く承認通知をタップする、あるいは指紋センサーに指を置くといった一連の動作がこれに該当します。

    多要素認証を導入すれば、どれか一つの要素が流出したり盗まれたりしても、他の要素が守られていれば不正アクセスを食い止められます。

    パスワードは推測されたり、リスト型攻撃で漏洩したりするリスクが常に付きまといます。しかし、攻撃者があなたの指紋を物理的に複製したり、あなたのデスクにあるスマートフォンを同時に奪取したりすることは、オンライン上の攻撃に比べて極めて難易度が高くなります。

    このように、多要素認証は単なる二重のチェックではなく、種類の違う防壁を重ねることで、セキュリティの強度を飛躍的に高める現実的な手段といえます。

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    多要素認証が必須な4つの理由

    多要素認証が必要な理由は以下4つに集約されます。

    パスワード認証は容易に破られることがあるため

    大多数のサイバー攻撃は不正ログインから始まるため

    クラウド・テレワークが普及しているため

    費用対効果の高い対策のため

    ここでは、各4つの理由を詳しく解説します。

    理由1:パスワード認証は容易に破られることがあるため

    多くのユーザーが長年頼りにしてきたパスワード認証は、現代のサイバー脅威の前ではあまりに脆弱です。パスワードが破られる要因は、ユーザーの過失だけではなく、攻撃側の技術的な進化にあります。

    たとえば、短期間に膨大な組み合わせを試すブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)、他サイトから漏洩したリストを悪用するリスト型攻撃により、たとえ複雑な文字列を設定していても突破されるリスクは常に存在します。

    実際に、使い回しのパスワードを一つ特定されるだけで、業務で利用しているチャットツールやメール、ファイルサーバーまで芋づる式に侵入されるケースは後を絶ちません。

    また、人間が記憶できる文字列には限界があるため、多くの人が推測しやすい単語や誕生日などの個人に関連する数字を組み合わせてしまう傾向にあります。どれだけ強力なパスワードポリシーを運用しても、記憶に頼る知識要素のみの認証では、文字通り鍵をかけ忘れたドアと同じ状態になりかねないのが実情です。

    現代のセキュリティ対策としては、パスワードは突破されるという前提で動かなければいけません。そう考えたとき、多要素認証を導入していれば、パスワードを突破されても不正アクセスを防げる確率が高まります。

    理由2:大多数のサイバー攻撃は不正ログインから始まるため

    サイバー攻撃と聞くと、高度なプログラムを用いたマルウェア感染を想像する方も多いかもしれません。しかし、多くの攻撃者が最初に狙うのは、脆弱な認証を突いた不正ログインです。

    ハッカーにとって、正規のIDとパスワードを手に入れてログインすることは、システムの脆弱性を探して攻撃コードを流し込むよりも、はるかに効率的で確実な侵入方法です。一度正規ユーザーとしてログインされてしまえば、システム側からは正当なアクセスとして認識されるため、侵入の検知が遅れるという重大な問題が発生します。

    たとえば、管理権限を持つアカウントに不正ログインされた場合、社内の機密データがすべて持ち出されるだけでなく、ランサムウェアを仕掛けられて全データが暗号化されるという最悪のシナリオも現実味を帯びてきます。

    多要素認証を必須化することは、こうした攻撃の入り口を物理的に封鎖することです。

    理由3:クラウド・テレワークが普及しているため

    近年の働き方の変化により、社内ネットワークという安全な領域だけで仕事をする時代は終わりました。多くの企業がMicrosoft 365やGoogle Workspace、Slack、Salesforceといったクラウドサービスを日常的に活用し、オフィス以外の場所からアクセスすることが当たり前になっています。

    クラウドサービスの利便性は高い一方で、インターネットに公開されているログイン画面は、世界中の攻撃者から24時間365日狙われ続けていることを意味します。従来の社内ネットワークであれば、社内LANに接続していること自体が一種の認証として機能していましたが、境界線のないクラウド環境では、アカウント認証こそが唯一の防衛線となります。

    テレワーク中に、従業員が公共のWi-Fiからアクセスしたり、個人のデバイスを業務に利用したりすれば、不正アクセスのリスクが極めて高いです。社外からのアクセスが標準となった今、単一のパスワードだけで社内資産を守り切ることは不可能に近いと言わざるを得ません。


    理由4:費用対効果の高い対策のため

    セキュリティ対策には多額の投資が必要だと思われがちですが、多要素認証は極めて投資対効果が高い施策の一つです。

    専用のハードウェアトークンを配布しなくても、現在では従業員が所有するスマートフォンに認証アプリを導入したり、SMSや生体認証を利用したりすることで、比較的低コストで導入が可能です。

    一方で、もし多要素認証を導入せずに不正アクセスを許してしまった場合、被害額は計り知れません。情報の漏洩による顧客への賠償、システムの復旧費用、さらには社会的信用の失墜による機会損失など、企業の存続を揺るがすコストが発生します。

    実際に、多要素認証を導入するだけで、パスワードの漏洩に起因する攻撃の99%以上を阻止できるというデータもあります。わずかな手間とコストでこれほど劇的にリスクを低減できる対策は他にありません。限られた予算の中で優先順位をつけるなら、多要素認証は間違いなく最優先事項となります。


    多要素認証を設定していないがためにサイバー攻撃を受けた事例

    多要素認証が有効であることは理解していても、自社が狙われるイメージが湧かないという担当者の方は少なくありません。しかし、現実に起きている被害事例に目を向けると、攻撃者は企業の規模や業種を問わず、認証の隙間を突いてくることがわかります。

    共通しているのは、わずか一つのアカウント、わずか一回のログインの甘さが、企業全体を揺るがす甚大な被害に直結しているという点です。ここでは、多要素認証が未設定だったことが致命傷となった具体的な事例を紹介します。


    アスクル株式会社

    国内の大手EC事業者であるアスクル株式会社では、2025年にランサムウェア攻撃を受け、大規模なサービス停止と情報流出の被害を受けました。この事件の大きな要因の一つとして、多要素認証が設定されていなかったことが挙げられます。

    同社が公開している報告書によると、原因の完全な特定は困難であるものの、例外的に多要素認証を適用していなかった業務委託先に付与されていた管理者アカウントのIDとパスワードが、何らかの方法で漏洩し、不正に利用されたことが確認されています。当該アカウントを通じた不正アクセスが発生した事実も報告されています。

    つまり、例外的に多要素認証が適用されていなかった外部業者が侵入口となり、被害が拡大したサプライチェーン攻撃である可能性が極めて高いといえます。

    現在では、子会社や業務委託先など、セキュリティ対策が手薄な企業を経由して本来の標的に攻撃を仕掛けるサプライチェーン攻撃が増加しています。アスクル株式会社も、そうした攻撃手法の被害に遭ったと考えられます。

    この事例が示唆するのは、セキュリティ対策が自社内だけで完結する時代は、すでに終わっているという現実です。いくら自社の防御を強化しても、外部の委託先や関連企業に脆弱性があれば、全体としてのリスクは依然として高いままです。

    とくに、業務委託先に管理者権限を付与する場合には、厳格なアクセス管理と多要素認証の適用が不可欠です。また、外部パートナーに対しても、定期的なセキュリティ監査や教育を実施し、組織全体でリスクを共有・低減する取り組みが求められます。

    アスクルの事例は、セキュリティ対策が単なるルールの整備ではなく、関係者全体を巻き込んだ運用の問題であることを明らかにしています。形式的に対策が整っているように見えても、実際にそれが機能しているかを検証し、例外をつくらない体制を築くことが重要です。


    サイバー犯罪者Zestixによる攻撃

    より広範囲かつ組織的な脅威として、2026年1月、サイバー犯罪者Zestix または Sentapが世界約50社の企業データに不正アクセスし、ダークウェブで一部を売却したという衝撃的なニュースが報じられました。被害に遭った企業には、グローバルに展開する大手組織も含まれています。

    この大規模なハッキングにおいて、多くの被害企業に共通していた脆弱性は、多要素認証が有効化されていなかったことでした。

    攻撃者は、ダークウェブなどで取引されている認証情報のデータベースを活用し、多要素認証による保護がかかっていないアカウントを狙い撃ちにしました。侵入に成功した後は、正規ユーザーの権限を悪用して社内ネットワークを縦横無尽に移動し、機密データを組織的に奪取していったのです。

    この事件が示唆するのは単純明快で、多要素認証さえ設定しておけば、攻撃を防げた可能性が高かったわけです。確かに多要素認証を導入することで、ログインの手間がかかってしまいます。しかし、そのひと手間をかけないだけで、数千万円から数億円の被害を防げると考えれば、費用対効果の対策といえるでしょう。


    ダークウェブ監視がパスワード漏えいの把握に役立つ

    ダークウェブとは、通常の検索エンジンではアクセスできず、専用のツールを用いて閲覧するウェブ領域のことです。極めて匿名性が高いため、サイバー攻撃ツールや機密情報、顧客データなどの売買に悪用されるケースが少なくありません。

    ダークウェブ上では、貴社のシステムに関する脆弱性情報や、従業員のパスワードなどが売買されている可能性も十分にあります。サイバー攻撃者は、こうした情報を入手したうえで、具体的な攻撃を仕掛けてくるのです。また、窃取した情報を再びダークウェブ上で販売することで、さらなる被害を引き起こす恐れもあります。

    このような背景から重要性が高まっているのが、ダークウェブ監視です。専用ツールを使って、ダークウェブ上に流出している自社情報を定期的に確認することで、早期発見と迅速な対応が可能になります。

    たとえば、パスワード情報の流出が確認された場合には、即座に該当アカウントのパスワードを変更し、多要素認証を導入することで、被害の拡大を防げます。

    StealthMoleでは、ダークウェブ監視サービスを無料でお試しいただけます。まずは以下のページから無料トライアルにお申し込みいただき、自社情報の流出状況をご確認いただければ幸いです。

    https://stealthmole.jp/contact


    多要素認証は必須だが万能ではない

    ここまで多要素認証の重要性について解説してきましたが、セキュリティの世界に「絶対」という言葉は存在しません。

    多要素認証を導入すれば、すべての不正アクセスを完全に防げると考えるのは危険です。攻撃者は常に防御をかいくぐる新たな手法を開発しており、近年では多要素認証そのものを突破しようとする高度な攻撃も登場しています。

    その代表例が、AiTM(Adversary-in-the-Middle)攻撃です。日本語では「中間者攻撃」と訳されることが多く、ユーザーと正規のログインサイトの間に、攻撃者が用意した偽のプロキシサーバーを介在させる手法です。

    たとえば、精巧に作られたフィッシングメールにより、偽のログインページに誘導されたとします。ユーザーがそこでIDとパスワードを入力すると、その情報はリアルタイムで正規サイトに転送されます。続いて、多要素認証のコード入力画面が表示され、ユーザーがワンタイムパスワードを入力すると、その認証情報やセッションデータまでが攻撃者に取得されてしまいます。

    その結果、攻撃者はユーザーが正規にログインした後のセッション(ログイン済みの状態)を乗っ取ることが可能となります。

    このような最新の脅威に対応するには、多要素認証を導入しただけで満足するのではなく、より強固で進化した認証方式への移行が求められます。たとえば、FIDO2という規格に準拠した物理的なセキュリティキーの活用や、証明書ベースのデバイス認証などが有効な対策として挙げられます。


    多要素認証は現代の必須セキュリティ対策

    本記事で解説してきたように、パスワード認証の限界やクラウド利用の拡大、さらに実際に発生している甚大な被害事例を踏まえると、多要素認証を導入しないことによるリスクは非常に大きいといえます。

    たとえ攻撃手法が日々巧妙化していたとしても、多要素認証という最初の強固な防壁があるかどうかで、侵入の難易度には大きな差が生じます。しかし、AiTM攻撃のような最新の脅威が示しているとおり、セキュリティ対策に完成形は存在しません。

    まずは多要素認証を全社的に徹底し、その上で必要に応じて、より高度な認証方式へと段階的にアップグレードしていく。このような継続的な改善のサイクルこそが、信頼される企業としてのセキュリティ基盤を築くうえで欠かせない要素です。

    自社の情報資産、従業員、そして顧客の信頼を守るためにも、まずは現在運用しているシステムの認証設定を見直すところから始めてみてはいかがでしょうか。



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